月夜の蟹 |
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前回同様この意図的に作り物めいた演出は、まぁ好みもありましょうけど正直苦手。
と思っていたら、『秘太刀 馬の骨』と同じ演出家さんなのね。 あのドラマも作り物感ありありのセットでしたけど、あれが面白かったのは脚本が良かったのと、役者さん達の渋さ、それに殺陣のシーンの迫力と言っても過言ではない…と思うのはあくまで私の個人的な意見で、異論は全面的に認めます。←いきなり弱気 そう云えばあの時も、石積みの塔があったなぁ…。 あの方はどっちかと云うと、心象風景を場面に出したい人なんでしょうかね? 如何にもな落葉とか、風景を極端に省略した舞台チックなスポットライトとか…。 大河ドラマと云うより劇場中継でも見てる気分でした。 戦場から外されて、兼続は雲洞庵で蟄居中。 「斬って怖くなって悩む」のだったらなんとなく想像がつくんだけど、 「斬れずに悩む」って、何考えるんでしょうね? 『義のためと言えど、むやみに人は斬れませぬ。何故、御館様は戦えるのでございましょう?なにゆえ、人を殺める事が出来るのでございましょう?』 冒頭、夢の中で御館様に訴えていたのが兼続の本音なら、 「生まれて来る時代を間違えたね」 と云うほか無いような気もする。 こんな何を今更な事でグズグズ悩んでても、ちゃーんと周囲から持ち上げて貰える主人公に説得力を感じないのは、私が歪んでいるせいだろうか? 兼続がヘタレなせいで、超ブルーな殿。 「殿の為なら何だってやっちゃいますからッ!」な勢いの安部政吉の涙ぐましい気遣いも素直に受取れないほど激しく落ち込んでいらっしゃる。 殿は不甲斐ない兼続に対してと云うよりも、彼に期待してた自分に対して落ち込んでいるんだろな。 傍に置いとくにはあまりに子供。あれじゃ番犬にもなりゃしない。 彼奴がウダウダ悩むのは、本人が言うように「身から出た錆」ってもんだから仕方ありませんが、一人雪の中を行く殿の背中がなんともお寂しそうで、心中お察し申します。 しかもお船ちゃんの旦那なんかさらっと紹介されちゃって、ますます沈んでく殿。 やっぱりなし崩しに失恋かぁ…不憫だ(ノω・、) ウゥ・・・ 兼続の母が亡くなった知らせを受ける殿は、そぼ降る雨に彼の心中を重ねる…。 綺麗な場面だけに「泣いておるのかのぅ…」の台詞は余計かな。 雨 = 涙 ってお決まりの演出なんだし、あそこは殿の憂い顔だけで十分じゃないでしょうか。 台詞で説明すると、心情を想像する余地が無くなってしまうのが残念でなりません。 秋の蛍も、お船ちゃんの終盤の台詞も、なんかこうあざとさを感じてしまう。 母の死によって今一度己を見つめ直す兼続は、燃えさかる紅葉と母の言葉で復活。 『紅葉のごとき家臣になれ』 この言葉に、彼は何を感じてふっきれたんだろうかなぁ。 樹を守り散ってゆく落ち葉の様に、我が身を捧げて主人に尽くせ と言ってるのは解るんですけども、そもそも彼の悩みは人が斬れない事に対してだった筈、それがいつのまにか家臣としての在り方にシフトしてってるのはどうした事か。 あんなサッパリした顔で「もう泣きませぬ」って言われてもねぇ。 何と云うか、全編通して座り心地の悪さを感じた回でした。
by baihu667-shie
| 2009-02-18 21:24
| ドラマ・映画
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